ホタル


側にいることが赦されないあたし達にとって、それがたったひとつの繋がりのように思える。抱き合うことが赦されないのなら、せめてこの煙だけでも繋がっていて。
そう願うこと自体、赦されないことだってわかっているのに。

「......好きなんだ、まだ」

英里が聞いた。あたしは曖昧に笑って返事の変わりにした。英里と同じように。






......いつの間にか式は終わり、屋上から見える廊下にはちらほらと生徒の影が現れていた。
泣いている女子や、先生と肩を組む男子もいる。


あたしは泣いてもいいのだろうか。
今日、彼の側で。


違う、訂正。








泣かずにいられるだろうか。











あの日のように。











……………






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