幸せの条件
 喋りたいだけ喋って夏子は、テーブルに突っ伏して寝てしまった。

私は、半分、夏子がなにを話しているか分からなかった。

夏子の寝顔を見ながら私は、思わず呟く。

「・・・家、どこよ。」

寝てる夏子をこのまま置いていくわけにもいかない。

私は、ため息をつきながら携帯電話でメールする。

約30分後に瑞希がやってきた。

「すみません、瑞希先輩。」

私は、頭を下げた。

軽々と瑞希が夏子を抱え上げ、コーヒーショップを出た。

瑞希が自分の車の後部座席に夏子を寝かせてる間に私は、助手席に座る。

「さくらちゃん、大変な後輩をもったね。」

「いえ、夏子は先輩です。私より年齢は下ですけど。」

「えっと・・・。」

「バイトから数えると夏子は5年、あの会社で働いてるらしいですよ。OL歴は私の方が長いけど。なんだかごちゃごちゃしていて分かりにくいですね。」

私は、微笑む。

「いいんですけどね。私、人に教えるとか出来るほど立派な仕事はしてませんから。」

私は、車窓から夜景を眺める。
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