幸せの条件
 浮いている私に話し掛けてきた男がいた。

「呑むのが早いですね。大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。」

私のぶっきらぼうな返事に男が苦笑した。

「僕、拓也っていいます。」

「そう。」

私がフフフと笑う。

つられて拓也も笑う。

私と拓也のやりとりを凜がジーッと見ていた。

「・・・片瀬先輩、合コンによく参加してるって本当ですか?」

突然、凜が私に話を振る。

私に視線が集まった。

「片瀬先輩は歳が歳だし、1度、結婚に失敗してるし。焦りますよね。美人なのに売れ残ったらショック~。」

「凜!失礼だろう!」

拓也が凜を止めようとした。

「確実にそうなりますよ。性格を変えない限りね、片瀬先輩。」

凜は、止まらない。

「もっと周りを見て学んだらどうですか?」

凜が肩を大きく上下させる。

私は、グラスをテーブルに置いた。


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