幸せの条件
 「・・・片瀬先輩って本当に綺麗ですね。拓也が一目惚れするわけだ。」

「拓也君がそう言ったの?」

凜が首を横に振る。

「分かるんです。拓也とは学生時代からの友達ですから。」

「・・・ねぇ、凜さん。そういう先入観は捨てましょうよ。」

「え?」

「社会人になって拓也君が変化したんでしょ?そのことを認めたくないから凜さんは言い訳として学生時代はこうだったって。逃げるのもいいけどお互いのためにはよくないわ。」

私は、残りウーロン茶を飲んだ。

「告白してみたらどう?」

「そんなの無理です。」

「なんで?人生って選択の嵐よね。朝、起きてから寝るまでず~っと・・・。今日はどの服を着るか、どのルートでなにで会社まで行くか、なにを飲むか、食べるかなどね。そうそう・・・。」

私は、クスッと笑う。

「時々、宝箱がもらえるスペシャルデーがあるわね。選択することで確実になにかを手に入れられる日よ。スルーするのはもったいないと思わない?」

私の話に凜が分からないという表情のまま固まってしまった。

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