幸せの条件
眠れぬ夜
 私は、タクシーで病院に向かった。

ナースステーションで場所を聞く。

「・・・お母さん。」

集中治療室の前の長椅子に座っている母が私を見て立ち上がる。

「さくらちゃん・・・。」

母は、泣くだけで話にならない。

パニックになりそうな自分に私は、必死に言い聞かせてまともに会話の出来る人をキョロキョロ探す。

ちょうど集中治療室から人が出てきた。

「・・・ご家族の方ですか?」

私は、頷くだけで精一杯だった。

「これから緊急手術をします。」

再び扉が開き、ストレッチャーに乗せられた父が運ばれていく。

駆け寄ろうとする母を私は、止めた。

回廊の窓にこちらに来る姉の姿が見えた。
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