幸せの条件
 友馬の意識が戻ったという嬉しい報せがきたのは夕方だった。

ちょうど悠がお見舞いにきていたので病院に連れていってもらう。

友馬は、個室に移っていた。

友馬の母親が私に気付き、手招きする。

「友馬、よかったわね。」

自分の横に立った私の両肩を両手で掴み、前に軽く押した。

「さくらさんもとっても心配してたのよ。」

私は、微笑む。

「・・・誰?」

友馬の意外な一言にその場にいた全員が「え?」という顔をした。

「俺、知らないぜ。この女。」

真っ先に動揺したのは友馬の母親だった。

「さくらさんよ、友馬。ほら、前にお見合いしたじゃない。」

「お見合い?・・・ああ。相手の人?」

友馬は、ふざけてるわけではなさそうだ。

真面目な顔をしている。

友馬の母親が私の顔を見つめる。
< 168 / 202 >

この作品をシェア

pagetop