幸せの条件
 父と友馬の入院している病院を行き来する毎日。

私しか自由に動ける人間がいないためしかたない。

 「本当ですか?」

医者が笑顔で頷く。

友馬の退院が決まった。

私は、友馬の病室に顔を出す。

「こんにちは。友馬さん、退院ですって。」

「ああ。」

「すぐにお仕事は再開するの?」

「当たり前だ。遅れは早く取り戻さないとな。」

「そう。」

「さくらさん、まだお父様は?」

私は、苦笑する。

「そうよ。意識が戻らないわ。・・・5年経つらしいわね。最初に発作が起きてから。」

私は、ため息をつく。  
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