幸せの条件
 「せめて家族には話しておいてほしかったわ。お姉ちゃんが大変になっちゃったのよ?」

私は、友馬が寝ているベットの横の椅子に座る。

「お父さんはいつもそう。自分の言動でどれだけ家族が振り回されているか・・・。家族の迷惑とか苦労とか考えてないのよ。」

私の表情が険しくなる。

「それは違うぞ。」

友馬が体を起こした。

「仕事をしているんだ。外でも内でも良い顔は出来ない。」

「じゃ、どっちかにしたらどうなの?」

「それなら外だな。家族を養うためだ。」

「養う、養ってもらうって古い考え方ね。」

「まあ、時代錯誤かもしれんな。共働きの家庭も増えてきているし。でも、人の根本的な考え方は変わらん。男は仕事、女は家庭。」

友馬は、欠伸をし、伸びをする。

「男ばかりは責められぞ。女だって結婚したら仕事は辞めて専業主婦にって考える。さくらさんもその1人だろ?」

私は、小さく小さく頷いた。
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