幸せの条件
 「動物園の次は遊園地・・・って覚えてないわよね。」

「ああ。俺達、今まで何回も会ってる?」

なにも覚えてない友馬に私は、ショックと同時に苛つく。

「本当になにも覚えてないの?」

悪戯心が私の中でむくむく大きくなってきた。

「私たち、結婚する約束をしていたわ。具体的な話もするようになっていたのよ。」

嘘だった。

これから恋人同士になるところでそれ以上のことはまだなにもない。

記憶が戻ったらバレバレの作り話。

私の真剣な顔に友馬が戸惑いの表情を見せる。

笑わないという友馬の意外な反応に私の方が困った顔になってしまった。
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