幸せの条件
 「すまない。さくらさんのことは本当に何も覚えてない。」

私は、現像した写真の束を取り出し、友馬に見せる。

「山に行った時の写真か・・・。」

友馬は、丁寧に見ていく。

その表情はとてもほんわかしていた。

でも、やっぱりなにも思い出せないらしい。

「もういいわ。」

私は、友馬から写真を奪う。

「無理しなくていいわよ。思い出は美化されるものでしょ?好印象のままの私の方が嬉しいわ。2人の思い出はまたつくればいいのよ。」

私は、にこっと笑う。

ガタンと大きく揺れて観覧車が止まった。

星空から地上に降りてきた。

扉がゆっくり開く。
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