幸せの条件
 婚姻届だった。

「1年のほとんどを海外で過ごしてるけどやっぱり日本に・・・ゆりさんの傍に帰りたくなるんだよね。」

彩人が人差し指で頬を掻く。

「あのね、彩人・・・。」

「素敵!お姉ちゃん、よかったね。」

「ちょっとさくらは黙ってて。」

「は?」

「彩人と私が決めることだから。」

「お姉ちゃん、断るの?」

「そうよ。お父さんや家が大変な時に私まで浮かれていられない。」

「またお父さんなの?お姉ちゃん!本音を殺して欲しいものを我慢して夢より現実を優先させるの止めたらどう?」

「さくらのように生きてたら確かに楽しいと思うけど・・・。」

「今を楽しんでなにが悪いのよ。お姉ちゃんみたいに常に先を先を考えてたら気が変になりそうだわ。」

私と姉は、無言になった。

姉妹喧嘩を始めた私たちの間で彩人がビクビクしている。
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