幸せの条件
 友馬がホットコーヒー2つと私にケーキを頼んでくれた。

友馬は、人のことを見ていないようでよく観察している。

聞いてないようで本人さえ言ったのを忘れていることをよく覚えている。

そんな能力があるのにプライベートでは活かしきれていない。

とても惜しい気がする。

「そうそう。これ、渡しておく。」

友馬が鍵をテーブルに置く。

「新居のマンションの鍵。さくらの希望通りの物件だ。」

「1人で見に行ったの?」

「ああ。」

「普通は一緒に行くでしょ?」

「また普通か・・・。あのなぁ~自分の常識、他人の非常識って言ってな、なんでもかんでも押し付けるな。」

「ちょっとは共有しようと思わないの?」

「あれもこれも一緒はやめてくれ。」

「少しは女心の勉強をしたらどう?俳優のくせに。」

「仕事は関係ないだろう。」

友馬が乱暴にコッヒーカップを置いた。

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