幸せの条件
 仕事が終わると私は、待ち合わせのファミレスに急いだ。

「・・・こうちゃん!」

孝太郎が片手を顔の横に上げる。

「参った~。引き継ぎが間に合わない。」

1日あちらこちら走り回ったのだろう。

孝太郎は、とても疲れた顔をしている。

「・・・こうちゃん。」

「ん?」

「行くの?」

「行くしかないだろ。」

「そうだね・・・。」

長い沈黙が続く。

何人の男が父の手によって私の前から消えただろう。

最初は皆、喜ぶ。

本当に父の後ろ楯は鬼に金棒。

でも、最後は皆、逃げていく。

とても父にはついていけないらしい。

縁を切りたくても切れない父と親子の私は、どうしたらいい。

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