双子とあたし。
俺は今の薫よりも、飛び出していった悠太が心配だった。
「…薫も、悠太のこと考えてやってよ。」
―――…そして、俺のことも。
「え?悠斗…―――?」
その言葉を背中で聞いて、とにかく俺は悠太の後を追った。
――――悠太っ!
目の前を歩くかたわれに心の中から出るあるったけの声で叫んだ。
「…」
すると、悠太は振り返った。
――――我ながら、双子というものは恐いな。
俺は悠太に追いついた。
「…悠斗…―――」
悠太の顔は淋しそうな、助けて欲しそうだった。
「…」
俺は悠太にかけてやれる言葉がわからなかった。
助けて、と見つめているその瞳を直視できない。
悠太は諦めたのか、また前へと歩き出す。
俺はその後を横に並んでついていく。
「―――…薫はさ」
悠太は少し上を向きながら話しだす。
「柳田と付き合っちゃうのかな…?」
「―――どうだろ、でも薫はその気ぽかったよね。」
「だよな。」
悠太は悲しみの入り混じった顔で笑った。
「…俺、柳田に宣戦布告されてた。」
「―――…まぢ?」
悠太は頷く。
階段をすれ違ったあとに言われた、と悠太は話す。
「俺に面と向かって言ったわけじゃないから、確信はないんだけど…。」
――――…なるほどね。
俺らの気持ちを柳田はわかってたんだ。