双子とあたし。





俺は長いため息をついた。





「どうした?」





悠太が俺の顔を覗き込んできた。



「いや…、薫のやつ結局俺たちの気持ちに気付かなかったな、て思ってさ。」





今の俺は悠太のような表情だと思ったから、あえて顔を逸らした。




「ああ、ね…」



悠太も俺と同じようにため息をついた。




「―――確かに、薫って鈍感だもんな。」




「…そうそう。―――…に、しても俺はライバルは悠太だけだと思ってたのにな…。」





「…俺もそうだよ。エイプリルフールの日、本当は悠斗の役をやりたかったんだからなっ。」






―――俺たちはほしぞら商店街に入っていく。





「…なんで?」



「薫に抱きつこうとしたじゃん…」



―――ああ。




「薫に弾かれた時は嫌われたかな、って思ったけどな。」





――――今となっては笑い話ですよ。






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