双子とあたし。
―――キス、とか?
さっきの子の言葉を不意に思い出してしまった。
―――…やばっ!
あたしはすぐに頬の熱さは取り除こうとした。
手の甲を顔にあてる。
――――すっごい熱いっ!これ、絶対顔赤いよ!
あたしは英介くんに気付かれないように顔を隠した。
『男子テニス決勝を行います。観戦者はAコートにお越し下さい。』
放送部による連絡が流れた。
あたしはコートの中を眺める。
悠斗は半面を使って流し打ちをしていた。
「…薫ちゃん、悠斗君ってテニス部だったの?」
「違うよ、バスケ部。でも基本的に悠斗は何でもできるよ。」
「ふーん…」
英介くんは悠斗の練習に見入っていた。