双子とあたし。



「悠斗がどうかした?」



「…いや、さっきから異常に俺たちのことを睨んでいる気が…。」



「うそー!」



あたしは冗談だと思ってもう一度悠斗をよく見た。


タオルで汗を拭き取っている…


でも何故か、眼差しはこちらを向いている…




「…ほんとだ。こっち見てる。」


でも、睨んでいるようには見えなかった。


むしろ、俺を応援してくれよ、と言っているみたいだ。



あたしは英介くんの言葉と悠斗の表情の食い違いに首をかしげていると、ふと英介くんから声がこぼれた。




「まぁ…、きっと俺たちじゃなくて、俺を睨んでいるのだろうね。」



「え?」




その言葉に驚いて、あたしは英介くんに振り返る。



「――――今のって…」





そう訊こうと思ったとき…―――




『ゲームプレイ!』




コートの審判が試合を開始させた。



「始まったよ。」



「あ、うん…」




あたしは逆らうことができず、そのままコートに目を移した。






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