双子とあたし。
コートから離れる時、女の子に呼び止められた。
見たことがある顔だった。
――――…それはあの日、悠斗と一緒にいた人だったから。
「ちょっと、幸島さん。」
相手は怒っているようにみえた。
「な、何ですか?」
あたしはとっさに身構えた。
「あんた、もう充分な彼氏持ってるじゃない。これ以上悠斗に構わないで!」
彼女は腕組みをしてこちらを睨んだ。
きっとさっきのやりとりを見ていたのかもしれない。
――――…言葉は一方的に続く。
「あんたが悠斗に構うから、あたしが何言っても聞いてくれないのよ!いつも悠斗はあんたを見てる…。」
「そんなの…」
「知ったことじゃない。」
背後に誰かがいるのに気付いて後ろを向いた。
声の持ち主からして、誰だかすぐにわかった。