双子とあたし。
「英介くんっ!」
「遅いからどうしたかと思えば…、なるほどこういうことね。」
英介くんは後ろからあたしの肩に手を触れ、あたしを引き寄せた。
――――…まるで、あたしを守ってくれるかのように。
「悪いけど、それは君の彼女不足だからじゃない?」
「なっ!」
不意をつかれたようで、彼女は目を見開いた。
「薫ちゃんはいい子だよ。その魅力を悠斗君は知ってるんじゃない?」
「…」
その子はもう、言い返せなかった。
「それに、俺から薫ちゃんに告白したんだよ?俺が充分かどうかは君が決めることじゃない。」
英介くんは彼女を睨む。
そして、さっきよりも大きい声を張り上げる。
「薫ちゃんだ!」
その言葉を聞いてその子は退いていった。
――――…最初から、気にして聞いていてくれたんだね。
「ありがとう、英介くん。」
さっきまで睨んでいた目が嘘みたいに微笑んでくれた。