双子とあたし。



「俺は、薫ちゃんにとって充分かな?」



後ろにいた英介くんはあたしの肩を使って正面にさせた。




「…」



充分すぎる。



だけど、その言葉を紡ぎだすのに口が開かないのは何故だろう…。


あたしは今、幸せだと思う。



だから無理にでも肯定しようと思って重い首を頷かせた。




「そっか…。」



英介くんは安心したような顔を浮かべた。


そして…



――――…あたしの目の前は暗くなった。



その理由はすぐにわかることになる。




「…ありがとう。」



英介くんがあたしを抱いていたから…――――。



「え、英介くん?ここは公の場だよ?!」



みんなの視線に気付く…―――。

すごく恥ずかしいです…。



あたしはなんとか英介くんの腕から逃れようとしたがそれを彼の腕が許さない。



逆にさらにきつく抱き締める。



痛い…



その次に感じたのが

英介くんの温かさ。




英介くんの心臓あたりがあたしの顔にあたる…―――。


鼓動と熱を一度に感じる。






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