双子とあたし。
「英介くんっ!」
あたしはもう一度彼の名を呼ぶ。
「え…。」
彼は驚いたようにあたしから離れた。
「俺、何して…」
一気に英介くんの顔が赤くなるのがわかった。
「ごめん、なんかわかんないうちに…」
「ううん、平気…。」
あたしたちは一定の距離をとってしまった。
なんだか初々しい恋人たちのように思えてきて、あたしたちはさらに赤くした。
「…あっ!も、もうすぐけいの試合が始まるよ…!」
あたしはどうしてもこの場の空気をなんとかしたくて話題を変えた。
「お、そっか!体育館に行こうっ!」
英介くんもだいぶ焦った様子で笑っていた。
向かう途中、二人の距離が縮まって微かに手と手が触れ合った。
「…あ。」
あたしはそっと英介くんを見た。
彼も横目であたしの様子を伺うように見ていたので目が合う…。