双子とあたし。
あたしだけが残された…。
だけど、今こんなあたしといても英介くんは楽しくないと思う。
茫然としたあたしの瞳は、ただ英介くんが走っていった先を見つめることしかできなくて…
そっと、指を唇に添えた。
まだ彼の残した潤いと温もりがある。
――――…あたしの、ファーストキス。
彼はそれ以上の愛の言葉も述べてくれた。
充分じゃないか…。
そう思えるはずなのに、なぜかあたしの中でチクンと痛む。
―――…した時は、驚いて…、でもこれが恋人同士の証なんだな、て思えたはずなのに。
今はどこかに小さな悲しみを抱えている。
唇に添えた手の腕に、冷たい滴が落ちてきた。
雨漏りかな?って上を見上げたけど、何もない。
かわりに、視界が霞んで見える。
――――あれ?
これは涙だ。
頬につたうできたての涙を拭った。
おかしいな…――――。
おかしいな。
拭いても、拭いても…全然止まらないよ。
これはうれし涙なの?それとも悲しみの涙?