双子とあたし。




「…いろいろと…。」




――――…結局あたしは、二人に話さなかった。



二人は特にそれ以上問いつめることはなかった。




あたしは昨日、ずっと唇に触れたり触れなかったり…を繰り返していた。




ファーストキスの瞬間の温もりを思い浮かべたり、その後に出てきた悠太の言葉を繰り返し呟いたりした。




ベッドの上でただすることなく考えているのは長かった。





英介くんの顔が思い浮かぶそのたびに、決まって悠太の姿が後ろにあった。





――――これは、何を表しているというの?





「…薫?」




悠太が心配そうにあたしを見ていた。




「あは…、ぼーっとしちゃったね。ごめん!」




強がった笑顔を作り、頬を軽く叩いたふりをした。



…その頬は、濡れていた。





「泣いてる…、薫?」




あたしはそれで濡れた手を眺めた。




「…なんでっ?!」





叫んだ声は、むなしく部屋に響いた。




「―――――…なんであたし、泣いてんのっ!」





この涙の理由がわからない。




わからないから叫んだ。




――――…これは、



うれしいから?それとも悲しいから?







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