双子とあたし。



もう、二人に迷惑はかけられない。



きっとあたしが悠太のことを話せば、彼は困ってしまうにちがいない。




…あたしだけが考えていればいい。




そう決意したけど、あたしはなんだか淋しい思いがあった。



でも、それを振り払うように首を大きく振る。






「…なんでもいいけど、俺は薫のそういう顔は見たくない。」



悠斗が何もない皿の上でフォークを遊ばせながら言った。




「―――…薫は、自分の中に押し込めすぎじゃない?…重くないの?」




「重くなんか…ないもんっ!」



あたしは声を張り上げた。



悠斗に見透かされているみたいで、二人を思って決断したのが水の泡のように思えたからだ。




いつの間にか、あたしの涙は渇いていた。





「大丈夫だよ。なんでもないから。」




その言葉に悠斗は意地悪な笑顔を浮かべた。




「…わかった。でも、薫が泣いた原因が柳田だったら、俺はあいつを殴りにいくからな。」




――――…ぜ、絶対言えないっ!






< 178 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop