双子とあたし。
―――…悠太の歌声が優しく体育館を包んだ。
人々はそれに魅了された。
あたしも、その一人だった。
―――…悠太に好きな人がいるなんて、知らなかった。
そんなに好きで、愛しかったんだね。
あたしはそんな話、されたことがなかったよ?ね、なんで相談してくれなかったの?
あたしだって少しくらい役に立てたと思うのに…。
一瞬の間に悠太のことが思い浮かぶ。
そして、胸の辺りがチクリという…―――。
あたしは両手を包みあわせてその胸にそっとあてる。
「―――…こ、れは?」
悠太を見つめながら、あたしは呟いていた。