双子とあたし。
―――。
…――――。
「え?」
あたしはその動きを疑った。
いくつもの瞬きをしていると、悠太はもう一度言ってくれた。
その唇は…
――――スキダヨ、カオル。
と 確かに言っていた。
スキ?
それって悠太が?あたしを?
……。
「…うそ、でしょ?」
そんな言葉しかあたしは言えない。
なんだろ…この気持ち。すごく温かくなってくよ。心が、悠太で満たされていく感じだ。
「――――!」
悠太はほんとにあたしを…?
「――――る!」
「薫っ!」
はっ、と我に返った。
隣を見ると英介くんが心配そうにあたしを見ていた。
「え、英介…くん」
あたしが彼の名を呼んだことで安心したのか、英介くんは小さなため息をついた。
「…薫、平気?さっきから呼んでたんだけど…。全然気づかなくって」
「あ、…ごめん。ぼーっとしてたや…」
「…うん」
もう一度ステージを見てみたが、悠太の姿はなくて次のバンドが既に歌っていた。