双子とあたし。
7月7日 悠太side
―――カオル、スキダヨ…。
一回目は、薫に届かない覚悟で言ってみた。所詮、口パクごときが離れた薫にわかるとは思わなかったから。
―――スキダヨ、カオル…。
薫の表情を見て、もう一度言ってみようという思いに至った。
目を赤くして綺麗に落とすその雫に俺はまた惚れてしまったのだ。
その涙は俺の歌が感動できたから?
…驚いてる。
いや、俺も驚いたよ。
ここからでも案外見えてしまうものなんだな。
「…可愛いやつ」
そんな言葉がふっと出てしまった。
赤い目を丸くして俺の真意を問おうとしてる…。