双子とあたし。
「別れるなら…、お願いがある。俺の、最後のワガママだ」
あたしはその次の言葉を待った。
――――…あれ?
あたし、その願いを受けようとしている?
それってあたしは英介くんと別れたいの?
やっぱり悠太の方が好きだったの?
「俺に、最後のキスを…――――」
その言葉を紡いだ彼の姿は少し俯いていて、恥ずかしさを紛らわすかのようだった。
「…ほら、キスする時っていつも俺からだったでしょ?最後ぐらい…」
「…」
あたしは何も言えなかった。
「―――…薫の心にはもう俺なんて映ってないことくらい知ってるよ。でもさ、どうしても、なんだよ…」
悲しく微笑む英介くんの顔があたしの瞳を捉えた。
「…自分の気持ちに気付いてもなお、俺のそばにいてくれるなら…。――――…俺の手を握って?」
そう言うと、英介くんはゆっくりと目を閉じた。