双子とあたし。
柳田英介
――――ひとりがいい、なんて思うわけがない。
薫に少しでも一緒にいてもらいたい。
いや、ずっと…
一緒がいい。
…でもそれは、もう叶わないことなんだ。
薫は悠太君を選んだんだ。
俺と一緒…ではなく、悠太君といたいんだ。
――――ひとりがいい、なんて思うわけがない。
ただ、このまま薫がいたらきっと泣いた姿を見られてしまいそうだから…。
弱い俺は、見せたくない。
薫が行ったその先を見つめる…。
その後を追えば、まだ彼女の匂いが漂っていそうだ。―――…まだ、後ろ姿を捕まえられそうだ。
どうしても、諦められない自分が囁く…―――
【奪えよ、藤間悠太から】
――――…奪う?