双子とあたし。
「え、悠太が何かあるの?」
うん、と深刻そうに頷いた。
また、英介くんは言うことをためらっているのがわかった。
「…どれだけ重大なのかわからないけど、…言って?大丈夫、あたしは平気だからっ!」
英介くんは安心したように微笑んだ。
「――――…悠太君、夏休みから外国に行くんだって」
「…え」
あたしは全身の力がぬけた。
そして、今まで持っていた最低点のテストを床に落とした。
「あ!薫、テスト見えちゃうよ?!」
――――…そんなの、もうどうでもいいんだよ。
だって悠太はいなくなっちゃうんでしょ?
のこり一週間だよ?その間にあたしは悠太に伝えなきゃいけないんだよ?
―――…そんな、
「無茶だよ…」
「……薫」
あたしはこの後の授業は聞けなかった。
悠太がいなくなる淋しさを今から痛感するように、あたしはただ呆然と黒板に書かれた文字を眺めるしかなかった。