双子とあたし。



「薫っ!」


悠太の止めようとする手を振り払ってあたしは走りだした。



「ばかばかばかばか…」



と呟きながら…。




しっかり走らなきゃ転んでしまうのに、その意に反するように視界は徐々ににじみ、薄れていく…。



「なんなのさ、なんで…、なんで…!」



耳を後ろに傾けた。
足音は聞こえない…―――。



あたしは走るのをやめて、ゆっくりと歩くことにした。


そう思った瞬間…!



「………っわ!」



あたしは前のめりになって大胆に転んだ。


「…」



ゆっくりと起き上がる。幸いにも、顔に傷はできていないみたいだ。


でも、両足にすりむいた跡があり、少しだが血も出ていた。




「…悠太のばか」




こんな時でも悠太のせいにしてしまう自分が許せない。

でも、この寂しさと悲しみはあたしがどんな声を心にかけたって届かない。


きっと彼の『ごめん』と謝る言葉以外、耳を貸さないと思う。




あたしはそのままうつむきながら正座していた。



「…」





言葉は出ない。
出るのは、いつもよりしょっぱい涙だけ…。






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