双子とあたし。



「薫?」


「………ひくっ」




もう、だめだ。



心配そう見てくるあなたは悠太のようだ…。



瞬間、あたしの身体全体が温かいものに包まれた。


「……薫」


あたしを優しく呼ぶ声が聞こえる。




「―――…行かないで、」


あたしを置いて行かないで。



「行かない。俺はお前の傍にいる」




「……ずっと、あたしと……、いてよ」



「あぁ…」



彼の低い声が、聞こえる。




「――――…悠太…」



返事が聞こえなかった。

代わりに、あたしはさらに強く抱きしめられた。




「……!」




―――…強く、つよく。





あたしは涙が流れる。


視界がもう、わからないほど…。


あたしは今、頭が混乱して、どこにいるのか、誰に抱きしめられているのかわからなかった。



ただ感じるのは、彼の体温…―――

彼の肌…――――。




ふっと強さが緩められた。


腰にまわされていた一方の手があたしの頭まで上ってきた。



不思議だな、と思って微かに目を開けてみた……。


目の先には、誰かの顔があった。



それがスローモーションのように近づいてくる。

でも、この速さが現実なのか感覚なのかはわからない。



あたしは面影から、一人の名を言う。






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