双子とあたし。
「これ、チーズケーキ。『ごめんね』の粗品」
それだけ言うと、悠太は部屋を出ようとした。
ドアに手をかけて
「―――…双子で唯一似ていないところ、か」
と呟いていた。
部屋にはあたしとチーズケーキが残された。
待っていた言葉が届いたはずなのに、何故か嬉しさが沸いてこない。
目の前には、チーズケーキがあるのに、早く食べたいという気持ちが沸いてこない。
―――…悠斗が好き?あたしを?
じゃぁ、悠太は?
混乱の渦に巻き込まれた気がした。ここから抜け出すには、どうやったらいいのだろう。
「……助けて、悠太」
こんな時でも、やっぱり彼の名を呼んでしまうのだなとあたしは自虐的に笑った。