双子とあたし。



あたしと悠太は顔を見つめあった。



そして、自然と二人の距離が縮まろうとした時、



「…待って」


不意に悠太があたしに言った。



「……どうしたの?」



その言葉であたしは我に返り、自分がしようとしていたことを振り返って顔を赤らめた。




「…まさか、薫。俺のこと好きになったから柳田君と別れたの?」


「――――…うん」



それを聞いて悠太はあたしから離れ、大きなため息をつき、手を額にあてた。



「…なに、やってんだよ」



「?」



あたしには悠太の気持ちがわからなかった。



「……なんで自分から幸せ逃してんだよ。俺なんか、明日で行っちゃうし」



「…え」



「明日、外国に行くんだ。…俺の夢を叶えるために」




―――――…明日?



それって今日が最後なの?




「……俺は、柳田君は薫を本当に幸せにしてくれると思ってた。だから、俺が遠くに行っても平気だって…、考えてたのに…」




悠太は横の塀に寄りかかった。
顔をうつむかせて、何かに後悔しているかのように…。




「なんで、別れた、とか言うんだよっ…!」





< 253 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop