双子とあたし。
「…薫の気持ちが聞けてよかった」
離れたところから、悠太の声が聞こえた。
「嬉しかったよ、ありがとう」
―――…待って
その後にくる言葉はなんとなく聞きたくなかった。
「……ばいばい」
もう行ってしまうの?
あたしの心を汲み取ったのか、悠太は微笑む。
「一緒にいたいのは山々だけど、ほら、…明日の準備とかあるからさ」
「うん…」
わかってるよ、わかってるけど…。
あたしはうつむき、涙を堪えた。
ここで泣いてはいけない。
泣くのはまた、悠太に会えたら。
それまでは、泣かないからっ!
「…薫」
悠太が近くにいるのがわかった。
…駄目。
あなたがそばにいるとずっと離れないでほしいと思ってしまうの。
だから…――――!
あたしは悠太に伝えるため、前を向いた…
――――…瞬間、視界が真っ暗になった。
涙のせいじゃない。
あたしの唇に柔らかいものがあてられ、そこから熱を感じた。
次のときには離されていて、代わりにあたしの前には微笑む悠太の姿があった。
「愛している…」
そう言って、悠太は背中を向けた。
今、何が…――?
一瞬すぎて
理解ができない。
でも、伝えなきゃ…!
「…いってらっしゃい、悠太!」
悠太は振り向かないまま、手を振って行った。