双子とあたし。
「…そろそろ行こっか?」
薫の髪は優しくなびいていた。
その姿に見惚れていて、薫が自分に尋ねていることに気付かなかった。
「――――…っあ!え、…うん!行こうか」
だいぶ取り乱している自分に大丈夫かと薫は心配してくれた。
帰り道、薫は淋しく笑っていた。
俺の話もどこか距離をとって笑っている。
きっと俺に気付かせないようにだ……。
薫は俺に心配させないために…―――。
―――…薫は優しいなぁ。
でもその反面、『俺には頼れないのか』という悲しさも浮かんできた。
手と手を繋げる範囲にいるのに、何故かそこには厚い壁が立ちふさがっていて、透明だから見えないけど、確かに俺と薫は別の意味で離れていた。
ふと、思う。
―――…この二人をはたからみた者は、俺たちを恋人同士だと思ってくれるのだろうか。
そんなことを考えられるのも、嬉しかったりする。