双子とあたし。
「大事にしたいな、って思って…」
そんな中、薫の声が俺の耳に届いた。
俺はまっすぐ薫を見ると、そこには妙に大人びた彼女がいた。
「……薫」
君の名を呟いてしまうほど…
今の君は美しい。
頬を赤らめて、細くて白い指を唇に添えていた。
その唇と指の対称的な色合いに目を奪われる。
俺の視線に気付いたのか、薫はそっと優しく微笑んだ。
さっきまでとは違う…
好きな人を思う、幸せな笑顔だった。
「悠太と気持ちが通じ合えた時間は少ないの。だから、あたしは悠太と触れられた時間を大切にしたいの…」
―――…薫
俺の届かないところに行かないでくれ。
「―――…悠太が、好きだから」
悔しいほどわかってしまった。
俺にはもう、薫を繋ぎとめる術を持っていないということ。
薫はそこまで悠太を好きでいること…。
俺が入れる隙間はどこにも存在しないということ…。
俺は一粒の雫を落とす…―――
だけど、それは俺の心の中で。
ポチャンとどこかに水音をたてて、何かと一体化した。