双子とあたし。
「かおるっ!」
後ろから、やけに甲高い声が聞こえてくる。
「留年しなくてよかったねっ!」
そう言ってあたしの両肩を勢いよく何度も叩いた。
「けい…。」
彼女の呼び名を呟いた。
けいはおはよう、て笑いながら答えた。
―――原田恵。
あたしと小学校から同じクラスである。
“恵(めぐみ)”という名前なので“けい”というあだ名がついている。
これはあたしが小学三年生の時につけたあだ名でけい自身も気に入っている。
「留年するほどバカじゃないもんっ!」
あたしは反抗した。
「いや、“ばか”ていう漢字も書けないあんたが留年しなかったのは奇跡に近いよ。」
「う…。」
いつもけいにそれなりに反抗はしてるんだけど、やっぱり勝てない。
「あれっ?」
けいはあたしたちの周りを見渡した。
「…悠斗くんは?」
「…俺はここ。」
悠斗は手を挙げた。
「うわっ!ごめん!いなかったのは悠太くんかっ!」
うんうんと、悠斗は頷いた。