双子とあたし。
――――めんどくさい近藤先生のあいさつがようやく終わった。
「―――そして今日、ひとりの生徒が加わるっ!」
―――来たっ!
と、けいが目配せしてくる。
―――わかってるってっ!
とあたしは苦笑しながら彼女に見た。
「じゃ、入ってきてくれ。」
「…はい。」
綺麗な声が聞こえた。
そして、その彼が歩みながら教卓の前に立った。
少し照れながら、彼は自己紹介をした。
「…こんにちは、はじめまして。柳田英介です。」
女子の黄色い声が教室のあちこちで聞こえる。
――――あぁ、確かにかっこいいかも…。
とあたしは思ってしまった。
けいはうっとりしている女子たちをニヤニヤしながら見ている。
――――なるほど、けいはこれが目当てか…。
「ほれ、柳田をそんなに困らすなっ!」
柳田君の存在で忘れかけていた近藤先生を今思い出したように皆顔をしかめたが、それでも柳田君への眼差しは変わらない。
それに気付いた柳田君ははにかんだ様子だった。
…まぁ、それにまたうっとりさせられるんだけど。
―――悪循環?て言うべきなのかな。