双子とあたし。
「…よし、ということで柳田を交ぜて新しく席替えをしよう。」
近藤先生の提案に誰もが賛成した。
そんな先生、ご満悦。
誰しもが「柳田君のとなり」という心を持っていた。
くじを引くのにあたしがぼーっとつったっていると、悠斗が声をかけてきた。
「…薫、平気?」
「えっ?あ、うん。全然大丈夫だよ?」
「ん、そっか…。」
悠斗は一呼吸おいて、あたしに聞こえるくらいの声でささやいた。
「―――…隣の席だと、いいね。」
あたしは笑顔で応えた。
「うんっ!」
悠斗は安心したように微笑んで、くじを引きにいってしまった。
――――悠太は…平気かな。
悠斗を見ると、やはりその一方を心配してしまう。
―――あんなに悲しい顔した悠太、久しぶりだったもんな…。
あたしもいつの間にかくじを引いていて、気付けば席を移動していた。
―――あたしにはいつものことで、よく心がどっかに行ってる…。
ま、バカの象徴てやつだよね。
自分でもわかってるんだけど。