双子とあたし。
あたしがシュンとしていたのがわかったのか、悠斗があたしに近づいてきた。
「…おはよ、薫。」
「―――――…はよ。」
あたしはうつむいて応える。
きっと悠斗にはあたしの声聞こえないんじゃないかな…?
―――…やだ。
今のあたし、ものすごくひどいや…。
「あのさ、柳田君は薫のこと嫌ってないと思うよ。」
あたしはびっくりして前方の悠斗を見た。
…だけど、悠斗は微笑んではいなかった。
むしろ、眉間にしわを寄せて…。
あたしは横目で友達と話してる柳田君を見る。
「ほ…ほんとかなぁ?」
「俺は、言いきれるよ。」
あたしは何も言わず、悠斗と柳田君を交互に見た。
「…じゃぁ、なんでそっぽ向いたり、あたしに最小限の会話で済ませようとするのかな?」
その言葉を聞いて悠斗はさらに険しい顔になる。
―――…え!あたしなんか悠斗を怒らせるようなことした?!
「なんで…」
悠斗の呟きが聞こえる。
「―――なんで、そんなに柳田を考えるんだよ…。」
怒りとも、悲しみともくめない言葉…―――。
「だって、柳田君は転校生だよ?みんなと仲良くなってほしいじゃん!」
悠斗はあたしを真正面から見る。
「ほんとに?本当に柳田のことをただの転校生としか思ってないの?」
「…え」
あたしが戸惑っているのに気付いて「忘れて」と言ってその場から去ってしまった。
―――――…さっきの…。
「どういうことなんだろ…。」
あたしはただ、前方に座る悠斗の背中を見るしかなかった。