双子とあたし。
「薫!帰ろっ!」
「あ、うん。待って!」
――――放課後
あたしのクラスまで悠太が迎えに来てくれた。
あたしは悠斗の姿を探したが、教室にはいなかった。
―――…帰っちゃったのかな。
「おまたせ…。」
鞄を背負い、悠太のもとにとぼとぼと行った。
「あれ?悠斗は?」
――――やっぱり聞くよね、普通。
悠斗という言葉を聞いた瞬間、あたしは今日の出来事を思い出してしまって不意に涙が溢れてきた。
「ゆう…たぁ。」
大粒の涙をいっぱいに流す。
「うわっ!どうした?薫」
視界が歪んだ瞳であたしは悠太を見ようとする。
「あたし…、あた…し。ゆうとにひどいこと…言っちゃった…かも…。」
悠太は笑いもせず、ただあたしの頭を優しく撫でた。
「…わかった。話、お前んちで聞くからさ。今は抑えろ。」
あたしは何度も頷く。
それを見た悠太は微笑んで、
「…いい子だ。」
と言ってあたしを一瞬抱き寄せた。
それから頭をぽんぽんと叩いて、玄関に向かってしまった。
「あ…」
あたしは何も言えなかった。