双子とあたし。
「―――悪いんだけどさ、
――――今から来てくれない?」
「…は?」
そう言ったかと思えば、電話はすぐに切れた―――
あたしはもう一度携帯の画面を睨む…
「…来いって、どこだし…」
――――思い当たる場所は二つあった…
…あいつん家か、または…――。
「――うーん…。」
あたしは考え込んだけど、すぐに椅子から立ち上がった。
――――今は、あいつが心配だった…。
あんなにも、不安に押しつぶされそうなあいつの声は初めてだった。
階段を勢いよく下がった。
すると居間の方から母の声がする…
「ちょっと、薫?どこ行くのよ!」
私は足を止めることなく玄関に向かった。
そして母に聞こえるくらいの声で叫んだ。
「ゆうたとゆうとのところっ!」
靴を一瞬で履いて、玄関を出た。
母の了承は受けていない。
――――けれど、きっと彼女は許してくれるはずだ。
それがもともとわかっていたから、あえて聞かないで出てこれたのかもしれない…。