双子とあたし。




あたし、幸島薫は藤間悠太、悠斗の幼なじみ。




家が隣同士なのである。





―――だからさっき、母はあたしに何も言わなかった。









「―――…ったく。」





あたしは走りながら舌打ちをした。





―――家にいないんだったら、あそこしかないっ!





“ほしぞら商店街”をあたしは風のように駆け抜ける。







「お、かおるちゃんっ!」





八百屋のおじさんが話しかけてきた。





「どうしたんだい?なんだか急いでるみたいだが…」






あたしは息を切らし、答えた。






「…あいつらっ…、知らないっ?」






おじさんは“あいつら”という言葉が通じたみたいで、笑顔で答えてくれた。







「ゆうたとゆうとはいつもの場所に行ったみたいだよ。」






その場所の方向に指さして教えてくれた。






「――ありがとっ!」






またあたしは駆け出す。








――――やっぱり…。









< 9 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop