双子とあたし。
あたし、幸島薫は藤間悠太、悠斗の幼なじみ。
家が隣同士なのである。
―――だからさっき、母はあたしに何も言わなかった。
「―――…ったく。」
あたしは走りながら舌打ちをした。
―――家にいないんだったら、あそこしかないっ!
“ほしぞら商店街”をあたしは風のように駆け抜ける。
「お、かおるちゃんっ!」
八百屋のおじさんが話しかけてきた。
「どうしたんだい?なんだか急いでるみたいだが…」
あたしは息を切らし、答えた。
「…あいつらっ…、知らないっ?」
おじさんは“あいつら”という言葉が通じたみたいで、笑顔で答えてくれた。
「ゆうたとゆうとはいつもの場所に行ったみたいだよ。」
その場所の方向に指さして教えてくれた。
「――ありがとっ!」
またあたしは駆け出す。
――――やっぱり…。