となりの部屋
第一章
真夜中の救出
ドンッ ドンッ
何度も何度も
鈍いドアを叩く音が響いている。
叩かれているのは、
俺の部屋のドアじゃない。
多分、隣に住む栗原さん家の
ドアだろう。
ゴンッ ‥
さっきより少し
叩かれ方は強くなったが
夜中で遠慮しているのか
音は小さい。
確か、隣に住んでいる栗原さんは
女の子だった気がしたけれど、
こんな真夜中に来客だろうか。
どう考えたって、
女の子の叩き方じゃないのは
明らかだから、
家族や恋人だろうか。
でも、なぜ彼女は
出ないのか。
そんな事をぼーっと考えながら
俺は一応、少しだけ
外の様子を見てみることにした。
自分の部屋の玄関に近づくと、
隣から聞こえてくる音が
さっきよりも大きく聞こえた。
「うるさ。」
そんな睡眠妨害に
俺は少し、不機嫌になった。