True Love



「あ…えっ…あ、あた、
あたしも家こ、この辺だから…日向くん同じクラスだし家このへんなのかなーって……」


ヤバい…どもった…
嘘だってバレたかな…

「…尾行しとったんか」



「…!?違うからっ!だから
あたしの家もこのへんなんだってば!」



するとまた携帯で話し出した。


そしてあたしが今の隙にと
帰ろうとした。


この行動は当然のことながら
阻止された。

すごい力で腕を
つかまれたことによって。


「いったたたた!痛い痛いっ」


日向湊は暖かさのカケラもない冷たい瞳であたしを見下ろして言葉を吐いた。

「うっせえ!ぴーぴー喚くなっ ちょっとこっち来い」




…ヤバいヤバいヤバい

足が震えて、呼吸も上手く
できない。

顔はどうしようもないほど
熱くて苦しいのに

頬を流れる汗は異様に冷たい。



あたしは引きずられるまま、

計り知れない恐怖と不安で
これといった抵抗もできないままに


商店街の目立たない一角にあるビルに連れ込まれた。






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