True Love
第1章
今日は、これから
あたしが通うことになった
高校の入学式。
中学卒業と同時に東京から
大阪にやって来て、
周りに知ってる人なんか
いるはずない。
ひとり心細く教室に入った。
ドアをあけてあたしの目に
とびこんで来たのは、
スリッパ。
ドアを開けた瞬間、
スリッパがあたしの顔めがけて勢いよく飛んできた。
当然それをよけられるほどの
反射神経はあたしにはなくて、
見事に顔面に直撃した。
「…った」
一瞬の沈黙。
「…うわっ!!!!大丈夫???」
「ヤべ~…」
「投げてんからハルが謝りや」「いや~、ごめんな?怪我とかしてへん?」
「…大丈夫…」
「ほんま?良かった。悪いな」
そういいながら、
ハルと呼ばれてた子が
人懐こそうな笑顔で
あたしについた埃を払った。
新しい土地で不安だらけだったあたしは、
ついその笑顔に安心して"ハル"に話しかけた。