ボタン雪
バス内のアナウンスが耳に入る。

もう降りるバス停に着いてしまった。

まだきちんとお礼も言えてないのに。

でもこのままだと乗り過ごしてしまう。

私は鞄を持ってバスから駆け下りた。

バスを降りてから、振り返ってみる。

男の人もこっちを見ていた。

制服を着ているから、きっと学生なんだろう。

あの制服は…

確か、N学園のだ。

超有名進学校の。

そこまで確認すると、私は学校へ足を向けた。

学校が分かったんだし、お礼はいつでもできるはず。

N学園ならこのバス停の2つ先だ。

近いうちにお礼に行こう。

私はそう心に決めると、顔を上げた。

これが私と彼の出会いだった。
< 8 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop