年下Prince.
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トントン
印刷した紙を揃えて、あたしたちは
職員室を出た。
グランドに戻り、美希ちゃんとあたしは
練習の見学。
でも、見学するだけでも心が苦しい。
自然に郁弥君を目で追ってる。
見すぎ、って思ってそらすけど、
でも勝手に目で追ってる…。
「美希ちゃん…」
「ん?」
「恋って、こんなに苦しかったっけ…?」
「絢音…」
「勝手に、目で追ってるねん。
勝手に…
だから、余計に切なくなる…。」
涙が目にたまってきた。
「何泣いてんの?」
「え?」
「それぐらいで泣くな。
フラれたわけでもないのに。
謝って、気持ちを言えばいい話やん。
弱気になるな。」
美希ちゃんの言葉に心が持ち上げられるみたいに感じた。
力強い言葉。
「うん、そやね。
がんばる!!ありがとう。」
「がんばれ。」
美希ちゃんはあたしの頭をよしよし、と撫でる。
あたしのお姉ちゃんみたい。