年下Prince.
「絢音先輩が唯斗先輩の下に倒れたとき、おれヤバかった。唯斗先輩を殴りそうになった。」
あ…あのときの…。
「おれはそれで、すねて帰ったんすよ?」
「郁弥君…」
端からみれば恋人どうしが抱き合ってるように見えてるのかもしれへん。
でも、決してあたしたちは恋人どうしではなくて。
でも、いつかそうなりたいと思ってる。
きゅっと郁弥君が着ている服をつかむと、
郁弥君はあたしを少し離し、
あたしのあごをクイッと上げてキスを落とした。
優しい、触れるだけのキスを
何度も、
何度も…
これは、いったい
…………なんなんやぁぁあぁあ…
ハッと我に返ったあたしは、郁弥君を押し返す。
「郁弥君…。あの…」
言葉が見つからず、おろおろしていると、
「帰りましょう。」
と郁弥君が言った。
「え。」
あたしがポカン…としていると
「送ります」
と言ってスタスタと歩いていった。